泡盛と首里の物語|王府が守った「首里三箇」の酒造り

更新日: 2026-08-10

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泡盛のふるさとはどこか、ご存じですか?答えは、首里です。首里城のすぐ足元に、王国が独占的に酒を造らせた町がありました。

泡盛とは ― 日本最古の蒸留酒

泡盛は、タイ米を黒麹菌で発酵させてつくる蒸留酒です。15世紀ごろ、シャム(現在のタイ)との交易を通じて蒸留技術が琉球へ伝わったとされ、日本最古の蒸留酒といわれます。

最大の特徴は「育つ酒」であること。瓶や甕で寝かせるほどまろやかになり、3年以上熟成させたものは古酒(クース)と呼ばれて珍重されます。かつての首里の旧家では、子どもが生まれると甕を仕込み、成人や結婚の祝いに開ける文化がありました。

首里三箇 ― 王府が酒造りを許した3つの町

琉球王国時代、泡盛は王府の厳しい管理下にありました。造ることを許されたのは、首里城下の赤田・崎山・鳥堀の3つの町だけ。この3町をまとめて「首里三箇(しゅりさんか)」と呼びます。

泡盛は国王への献上品であり、中国からの冊封使をもてなす外交の酒であり、薩摩や江戸への貢ぎ物でもありました。つまり泡盛は、王国の「国家事業」だったのです。首里城見学のあとに崎山や赤田の坂道を歩けば、そこはかつて王国の酒蔵が軒を連ねた町。今も酒の神を祀る拝所が残り、酒造りの記憶が息づいています。

首里で泡盛にふれる

古酒を「飲み比べる」なら

蔵元で買うのとは別に、何種類かを少しずつ試せる店が首里にあります。 沖縄そば 地酒 和々は、店名に「地酒」と入っているとおり、 そばと一緒に熟成古酒を10種類ほどそろえています(2026年6月に店頭のリストを確認)。

うれしいのはグラス30mlで500〜800円という単位があること。1合(1,500〜2,500円)だと 1種類で終わってしまいますが、30mlなら蔵の違いを飲み比べられます。 リストには詰口の年と度数まで書かれていて、たとえばこんな顔ぶれです。

銘柄蔵元詰口度数
和々特製古酒(店主ブレンド)13社をブレンドして熟成1990〜2010年約30度
瑞泉古酒瑞泉酒造(那覇・首里)2005年44度
菊之露 古酒菊之露酒造(宮古島)2007年40度
北谷長老 13年古酒北谷長老酒造工場(北谷)2023年43度
まさひろ 古酒(黄金まさひろブレンド)まさひろ酒造(糸満)1994〜2020年約35度
忠孝原酒忠孝酒造(豊見城・マンゴー酵母使用)2008年44度
琉球南蛮津波古酒造(那覇・与儀)※終売品2006年44度

首里で造られた瑞泉の20年ものを、首里で食事をしながら飲めるというのは、 ちょっと贅沢な体験です。店主が13社をブレンドして寝かせた「和々特製古酒」も、 ほかでは飲めない一杯。終売になった蔵の酒が残っているのも、古酒を置く店ならではです。

銘柄と価格は2026年6月時点で店頭に掲示されていたものです。古酒は在庫がなくなれば終わりなので、 目当てがある場合はお店に確認を。営業は昼11:30〜14:00・夜18:30〜22:30、火曜定休で、 出汁がなくなり次第終了します(そばが売り切れて早じまいの日もあります)。

泡盛をおいしく・正しく楽しむために

2019年の火災と泡盛

2019年の首里城火災では、正殿とともに、県酒造組合が首里城内で熟成させていた古酒も失われました。それでも各蔵は再び甕を仕込み、首里城の再建とともに酒を育てています。正殿公開の2026年11月23日——復元された首里城を眺めながら味わう泡盛は、きっと格別のはずです。

※本記事は公開情報をもとにまとめたものです(情報確認日:2026年7月21日)。見学・購入の可否は各蔵元の公式情報をご確認ください。

この記事に出てくる用語

📖 当サイト運営者の書籍 首里城 再建までの物語と歩き方: 焼失から正殿公開までの七年 Kindle版 ¥700(価格は変わることがあります)/ 著: churaneko 2019年の焼失から2026年の正殿公開まで——このサイトで追いかけてきた復興の7年を、1冊の物語と歩き方ガイドにまとめました。旅の予習に、機内のお供にどうぞ。
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